株式会社クレハ

株式会社クレハは、東京都中央区に本社を置く企業で、主に機能製品、化学製品、樹脂製品の製造・販売を行っています。2024年3月期の売上収益は177,973百万円、税引前利益は13,913百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,734百万円でした。企業は、30社の子会社（うち28社が連結子会社）と6社の関連会社を持ち、国内外で事業を展開しています。特に、機能樹脂や炭素製品の製造に注力しており、グローバルな販売網を構築しています。また、2025年度までに新卒総合職採用における女性の採用割合を30％以上にする目標を掲げ、多様な人材の確保と育成に努めています。さらに、サステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会への貢献を目指しています。

株式会社クレハの主要な経営指標は以下の通りです。2020年から2024年までの売上収益は、2020年3月期が142,398百万円、2021年3月期が144,575百万円、2022年3月期が168,341百万円、2023年3月期が191,277百万円、2024年3月期が177,973百万円でした。税引前利益は、2024年3月期に13,913百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,734百万円です。資産合計は2024年3月期に330,630百万円、自己資本比率は67.0%となっています。また、1株当たりの親会社所有者帰属持分は4,022.68円、基本的1株当たり当期利益は173.03円です。これらの指標は、企業の財務健全性や収益性を示す重要なデータです。

株式会社クレハは、機能製品、化学製品、樹脂製品の製造・販売を主な事業内容としています。企業は、30社の子会社（うち28社が連結子会社）と6社の関連会社を持ち、各事業に関連する設備の建設・補修、物流、環境対策なども行っています。具体的には、機能製品事業では、PPS樹脂や炭素製品を製造・販売し、化学製品事業では農業用殺菌剤や塩酸などを取り扱っています。樹脂製品事業では家庭用ラップや食品保存容器を製造し、建設関連事業では土木・建築工事の施工を行っています。その他、産業廃棄物処理や医療サービスなども提供しており、幅広い分野で事業を展開しています。

株式会社クレハは、1944年6月に呉羽化学工業株式会社として設立されました。1949年には東京証券取引所に上場し、1953年には呉羽化成株式会社を設立しました。1960年には家庭用ラップ「クレラップ」の販売を開始し、1962年には呉羽化成株式会社を合併しました。1970年にはクレハ・コーポレーション・オブ・アメリカを設立し、国際展開を進めました。2005年には商号を「株式会社クレハ」に変更し、2006年にはクレハ建設株式会社と合併しました。近年では、リチウムイオン電池用材料の販売を目的とした子会社を設立し、持続可能な社会への貢献を目指しています。これまでの歴史を通じて、クレハは多様な事業を展開し、成長を続けています。

株式会社クレハの財務情報は以下の通りです。2024年3月31日現在、資産合計は330,630百万円で、前期比342億25百万円の増加です。流動資産は119,900百万円、非流動資産は210,729百万円です。負債合計は107,481百万円で、前期比278億51百万円の増加、資本合計は223,148百万円で前期比63億73百万円の増加です。営業活動によるキャッシュ・フローは11,601百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは34,288百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは12,135百万円の収入となっています。これらの指標は、企業の財務健全性や収益性を示す重要なデータです。

株式会社クレハは、2030年度に向けた経営方針として、3つの目標と3つの最重要施策を定めています。目標は、継続的な経済価値の向上、社会課題解決への貢献、環境負荷低減への貢献です。重点事業分野として「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」を掲げ、経営資源を集中させています。また、2050年度にはカーボンニュートラルを目指し、循環型生産技術の高度化を推進しています。最重要施策には、研究・技術開発力の強化、新商品の開発、他社との協創・協業を通じた新規事業の創出が含まれています。これにより、持続可能な社会への貢献を目指し、企業価値の向上を図っています。

株式会社クレハは、経営に悪影響を及ぼすリスクを全社的に把握し、その顕在化を未然に防止するためのリスク・マネジメント基本方針を定めています。リスク・マネジメント部会が設置され、リスクの特定、分析、評価を行い、「重要リスク」に対する対応策を検討・実施しています。具体的には、信用リスク、流動性リスク、為替リスク、金利リスク、情報セキュリティリスクなどが挙げられます。特に、信用リスクについては、取引先ごとに与信限度枠を設定し、定期的にモニタリングを行っています。また、流動性リスクに対しては、資金繰り計画を作成し、資金調達手段の多様化を進めています。これにより、リスクの最小化と機会の最大化を図っています。

株式会社クレハの経営成績は、2024年3月期において売上収益が前期比7.0％減の1,779億73百万円、営業利益は前期比42.7％減の128億円、税引前利益は前期比39.5％減の139億13百万円、当期利益は前期比42.0％減の98億43百万円となりました。特に、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上減少が影響し、欧州での熱収縮多層フィルム事業撤退に伴うリストラクチャリング費用や、中国での製造設備増強計画中止による固定資産の減損損失も計上されました。これにより、全体的に減収減益の結果となり、先行きの不透明感が強まっています。

株式会社クレハの財政状態は、2024年3月31日現在、資産合計が前期末比342億25百万円増の3,306億30百万円となりました。流動資産は、営業債権及びその他の債権が増加したものの、現金及び現金同等物が減少し、前期末比10億94百万円減の1,199億円です。非流動資産は、有形固定資産やその他の金融資産が増加し、前期末比353億19百万円増の2,107億29百万円です。負債合計は、前期末比278億51百万円増の1,074億81百万円で、有利子負債が社債や借入金の増加により286億28百万円増の549億4百万円となりました。資本合計は、前期末比63億73百万円増の2,231億48百万円で、自己株式の取得や剰余金の配当を実施した一方で、当期利益の計上や投資有価証券の評価額の増加が影響しています。

株式会社クレハのキャッシュ・フローの状況は、2024年3月期において営業活動によるキャッシュ・フローが116億1百万円の収入となり、前期に比べ111億43百万円減少しました。これは、税引前利益の減少が影響しています。投資活動によるキャッシュ・フローは342億88百万円の支出となり、前期に比べ231億88百万円の支出が増加しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の増加や、前期に発生した持分法で会計処理されている投資の売却による収入が当期には発生しなかったことが要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは121億35百万円の収入となり、自己株式の取得による支出が増加した一方で、社債の発行や長期借入れによる収入が発生しました。これにより、現金及び現金同等物の当期末残高は231億31百万円となり、前期末に比べ90億73百万円減少しました。

株式会社クレハは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を目指し、サステナビリティ経営を推進しています。サステナビリティ委員会を設置し、経営戦略に基づいたサステナビリティ活動を監督しています。具体的には、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、2030年にはCO2排出量を30％以上削減する目標を設定しています。また、環境負荷低減のための技術開発や、廃棄物削減に向けた取り組みを進めています。さらに、社員の多様性を尊重し、2025年までに新卒総合職採用における女性の割合を30％以上にする目標を掲げています。これらの取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップと位置付けられています。

株式会社クレハは、経営に影響を及ぼす可能性のあるリスクを把握し、未然に防止するためのリスク・マネジメント基本方針を定めています。主なリスクには、自然災害や事故による生産設備の損害、製品品質問題によるブランドイメージの低下、環境規制の強化、原燃料価格の変動、海外事業展開に伴う政治・経済リスクなどがあります。特に、自然災害やパンデミックの影響で操業停止や修理費用が発生する可能性があり、事業継続計画（BCP）の整備や防火・防災訓練を実施しています。また、製品品質に関しては、品質マネジメントシステムを運用し、製造物責任保険を付保することでリスクを軽減しています。これらの取り組みにより、リスクの最小化と機会の最大化を図っています。

株式会社クレハの経営者は、2024年3月期の財政状態について、資産合計が前期比342億25百万円増の3,306億30百万円となったと報告しています。流動資産は営業債権の増加により増加したものの、現金及び現金同等物が減少し、非流動資産は有形固定資産の増加により増加しました。負債合計は278億51百万円増の1,074億81百万円で、有利子負債が増加したことが影響しています。経営成績は、売上収益が前期比7.0％減の1,779億73百万円、当期利益は前期比42.0％減の98億43百万円となり、リチウムイオン電池用材料の販売減少が影響しました。キャッシュ・フローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローが116億1百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが342億88百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが121億35百万円の収入となり、全体的に流動性を確保しつつ、資金の効率的な活用を図っています。

株式会社クレハは、必要な資金を金融機関からの借入、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行により調達しています。資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、コマーシャル・ペーパーの発行枠の確保、金融機関とのコミットメントライン契約、当座貸越契約等を活用し、流動性を確保しています。また、計画利益の確保と資産の効率化による営業キャッシュ・フローの最大化を図り、新規事業や既存事業拡大のための設備投資、投融資、研究開発投資、株主への配当等に資金を配分することを基本方針としています。重要な資本的支出の予定については、フッ化ビニリデン樹脂生産設備の増強を中心に設備投資を予定し、その資金調達は自己資金、社債及び借入金を考えています。

株式会社クレハの経営成績に重要な影響を与える要因として、主に以下の点が挙げられます。まず、自然災害や事故の発生があり、大規模地震や台風、火災などによる生産設備の損害が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品品質の問題が発生した場合、製品回収や賠償請求、ブランドイメージの低下が懸念されます。さらに、原燃料の市況や調達リスクも重要で、価格変動や供給元の状況によって経営成績が影響を受けることがあります。環境リスクや新技術の登場も無視できず、特に気候変動や規制の強化が事業活動に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、クレハは事業継続計画（BCP）の整備や品質マネジメントシステムの運用を通じて、リスクの軽減に努めています。

株式会社クレハの経営者は、現在の経済・社会環境の不透明感を認識し、特に新型ウイルスの影響や金融引き締め、インフレ進行、地政学的リスクの高まりが企業活動に与える影響を重視しています。これに対処するため、サステナビリティ経営を推進し、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立させる方針を掲げています。2030年度に向けた経営方針として、環境・エネルギー、ライフ、情報通信の3分野を重点事業分野に設定し、経営資源を集中させることを目指しています。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みや、社会課題解決への貢献を強化するため、研究・技術開発力の強化やデジタル化戦略の推進を進めています。これらの施策を通じて、持続的な成長を図り、企業価値の向上を目指しています。

株式会社クレハは、いくつかの重要な契約を締結しています。主な契約には、田辺三菱製薬株式会社との慢性腎不全用剤「クレメジン」の販売契約があり、2009年10月5日に締結され、2028年3月までの契約期間です。また、ポリプラスチックス株式会社とのPPS樹脂に関する事業提携契約もあり、2016年9月30日に締結され、2028年9月までの契約です。さらに、BASF Agro B.V.との農業・園芸用殺菌剤「メトコナゾール」の販売契約があり、1995年6月21日に締結され、2024年6月までの契約です。これらの契約は、クレハの事業運営において重要な役割を果たしており、安定した収益源となっています。

株式会社クレハの研究開発活動は、地球環境や人々の暮らしに貢献するソリューションの提供を目指し、「環境・エネルギー」「ライフ」「情報通信」などの分野に重点を置いています。2024年度の研究開発費は6,856百万円で、機能製品事業、化学製品事業、樹脂製品事業に分かれています。機能製品事業では、ポリフッ化ビニリデン樹脂やPPS樹脂の生産性向上を目指し、高性能グレードの開発を進めています。化学製品事業では、農業用殺菌剤の販売数量の維持・拡大を図り、次世代農薬の開発を加速しています。樹脂製品事業では、顧客ニーズに応じた技術開発を行い、安定生産と品質向上を目指しています。これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けた技術革新を推進しています。

株式会社クレハの設備の状況について、2024年3月31日現在、当社グループでは総額35,264百万円の設備投資を実施しました。主な設備投資は、機能製品事業におけるフッ化ビニリデン樹脂製造関連設備やPPS樹脂製造関連設備に25,381百万円を投じています。化学製品事業では工業薬品製造関連設備に1,028百万円、樹脂製品事業では塩化ビニリデンフィルム製造関連設備に1,947百万円の投資が行われました。主要な設備の帳簿価額は、いわき事業所において製造・研究開発設備が65,791百万円、樹脂加工事業所において製造設備が4,422百万円となっています。現在、休止中の主要な設備はなく、今後も設備の新設や更新を計画しています。

株式会社クレハの株式の状況について、2024年3月31日現在、発行済株式総数は58,576,221株で、2024年1月1日に普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったことにより、発行済株式数が39,050,814株増加しました。自己株式の状況では、期首残高が1,287,970株で、期中に3,540,264株が増加し、1,284,336株が減少した結果、期末残高は3,543,898株となっています。大株主の状況では、レオス・キャピタルワークス株式会社が5.02%の株式を保有しており、その他の大株主には三井住友信託銀行やみずほ銀行が含まれています。株主総会決議に基づく自己株式の取得も行われており、株主還元策としての配当政策も実施されています。

株式会社クレハは、2030年度のありたい姿を見据えた「クレハグループ中長期経営計画 ローリングプラン2025」に基づき、剰余金の配当について安定的な配当を行う方針を採用しています。目標配当性向は30％以上とし、2024年度の期末配当金は1株につき43円34銭（株式分割前換算で130円2銭）と設定されています。中間配当金は130円（株式分割前換算）で、年間配当金は1株につき260円2銭（株式分割前換算）となります。また、2025年度までの年間配当額の下限を1株当たり86円70銭（株式分割前換算260円相当）と定めています。配当は中間配当と期末配当の年2回行うことを基本とし、内部留保資金は企業価値向上のための投資に充当される予定です。

株式会社クレハは、コーポレート・ガバナンスの強化を図るため、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、経営の監督機能と執行機能の役割を明確にしています。取締役会は、独立社外取締役を3分の1以上含む10名以内で構成され、原則月1回開催され、重要な経営事項の決定と業務執行の監督を行っています。また、社外取締役と監査役は、監査役会と定期的に意見交換を行い、内部監査結果や内部統制関連の報告を受けています。経営会議は、代表取締役社長が議長を務め、執行役員を構成メンバーとして、経営に関する重要案件を審議しています。これにより、透明性の高い経営を実現し、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。

株式会社クレハの役員は、取締役会において重要な経営判断を行う役割を担っています。2024年6月27日現在、取締役は10名で構成され、そのうち3名が社外取締役です。代表取締役社長の小林豊氏をはじめ、常務執行役員や専務執行役員が各事業部門を管掌し、経営の執行を行っています。取締役会は原則月1回開催され、重要な経営事項の決定と業務執行の監督を行っています。また、役員の選任や報酬に関する事項は、指名委員会および報酬委員会で審議され、透明性の高い意思決定が行われています。監査役会は、社外監査役を含む構成で、監査業務を効率的に進めるために定期的に開催されています。これにより、企業のガバナンス体制が強化されています。

株式会社クレハの監査の状況について、監査役会は社外監査役を含む4名以内の監査役で構成されており、監査役会は2024年度に14回開催されました。監査役は、取締役会に出席し、監査計画や結果を報告し、経営会議や各委員会にも参加して必要な報告を受けています。内部監査部は、他部門から独立しており、コンプライアンスやリスク管理体制の評価を行い、監査結果を経営会議や取締役会に報告しています。会計監査は、EY新日本有限責任監査法人が担当し、継続監査期間は10年間です。監査役は、会計監査人と定期的にコミュニケーションを取り、監査状況の確認や意見交換を行っています。これにより、監査の充実を図り、企業の透明性と信頼性を高めています。

株式会社クレハの役員の報酬は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬から構成されています。取締役の報酬は、月例の現金報酬としての基本報酬と、業績に基づく賞与、事前交付型譲渡制限付株式報酬、業績連動型譲渡制限付株式報酬が含まれます。社外取締役は基本報酬のみを受け取ります。2023年度の取締役の報酬総額は247百万円で、内訳は基本報酬150百万円、業績連動報酬55百万円、非金銭報酬15百万円、賞与20百万円です。監査役の報酬は23百万円、社外取締役は46百万円、社外監査役は30百万円となっています。報酬の決定は取締役会の決議に基づき、代表取締役社長が個人別の報酬額を決定し、報酬委員会の審議を経て行われます。

株式会社クレハの株式の保有状況について、2024年3月31日現在、発行済株式総数は58,576,221株です。このうち、自己株式は3,543,800株（6.05%）を保有しています。大株主の状況では、レオス・キャピタルワークス株式会社が5.02%の株式を保有しており、その他の大株主には三井住友信託銀行やみずほ銀行が含まれています。また、2024年1月1日には普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施し、発行済株式数が増加しました。取締役会では、保有目的が適切であるか、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを精査し、保有意義を検証しています。2024年3月末時点では48銘柄の株式を保有しており、前年同期比で2銘柄減少しています。

株式会社クレハの経理の状況について、2024年3月31日現在、連結財務諸表は国際会計基準に準拠して作成されています。監査法人であるEY新日本有限責任監査法人による監査が行われ、財務諸表は全ての重要な点において適正に表示されていると認められています。連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書が含まれ、これらは経営成績や財政状態を正確に反映しています。内部監査部は、他部門から独立しており、コンプライアンスやリスク管理体制の評価を行い、経営会議や取締役会に監査結果を報告しています。内部監査部の人員は7名で、定期的に業務監査を実施し、改善提案を行っています。これにより、経理の透明性と信頼性が確保されています。

株式会社クレハの連結財務諸表は、2024年3月31日現在の財政状態を示しており、国際会計基準（IFRS）に準拠して作成されています。連結財政状態計算書によると、資産合計は330,630百万円で、流動資産は119,900百万円、非流動資産は210,729百万円です。流動資産の内訳には、現金及び現金同等物が23,131百万円、営業債権が38,919百万円、棚卸資産が51,245百万円含まれています。負債合計は107,481百万円で、自己資本は223,148百万円となり、自己資本比率は67.0%です。連結損益計算書では、売上収益が177,973百万円、営業利益が12,800百万円、当期純利益が9,734百万円と報告されています。これらのデータは、企業の財務健全性や収益性を示す重要な指標です。

株式会社クレハのセグメント情報は、主に「機能製品事業」「化学製品事業」「樹脂製品事業」「建設関連事業」「その他関連事業」の5つの報告セグメントに分かれています。2024年度の売上収益は、機能製品事業が64,510百万円、化学製品事業が33,949百万円、樹脂製品事業が47,328百万円、建設関連事業が13,948百万円、その他関連事業が18,237百万円で、合計177,973百万円となりました。営業利益は、機能製品事業が4,837百万円、化学製品事業が1,655百万円、樹脂製品事業が8,194百万円、建設関連事業が1,480百万円、その他関連事業が2,466百万円で、合計12,800百万円です。セグメント資産は、機能製品事業が137,621百万円、化学製品事業が27,590百万円、樹脂製品事業が37,885百万円、建設関連事業が8,909百万円、その他関連事業が29,850百万円で、合計330,630百万円となっています。

株式会社クレハの連結財務諸表は、国際会計基準（IFRS）に準拠して作成されており、重要な会計方針や見積りに用いた仮定が明記されています。棚卸資産の評価においては、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方で測定され、正味実現可能価額は市場の動向や需要に基づいて見積もられます。また、繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得の発生を見込んで評価され、実際の業績が見積りと異なる場合、影響を受ける可能性があります。確定給付制度の債務は、年金数理人による数理計算に基づき、割引率や退職率などの仮定を用いて算定されています。これらの見積りは、将来の不確実な経済環境や市場の変動に影響を受ける可能性があり、見直しが必要となる場合があります。

株式会社クレハの金融商品関係について、2024年3月31日現在、金融資産は主に公正価値で測定され、その他の包括利益を通じて認識されています。公正価値は296百万円、累積利得または損失は190百万円です。金融資産の内訳として、償却原価で測定する金融資産は1,679百万円で、主に営業債権やその他の金融資産が含まれています。金融負債は、社債が4,999百万円、借入金が17,047百万円で、合計22,046百万円です。金利リスクや為替リスクに対する感応度分析も行われており、金利が0.1%上昇した場合の税引前利益への影響は、前年度が△5百万円、当年度が△4百万円と報告されています。また、株価が10%下落した場合のその他の包括利益への影響は、前年度が△1,836百万円、当年度が△2,423百万円となっています。これらの情報は、金融商品のリスク管理や評価において重要な指標となります。

株式会社クレハのリース取引に関する状況は、リース負債がリース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定されています。使用権資産は、リース負債の当初測定額に初期直接コストや前払リース料を調整し、リース契約に基づく原状回復義務等のコストを加えた額で初期測定されます。使用権資産はリース期間にわたり定期的に減価償却され、有形固定資産または無形資産に含まれています。リース料はリース負債残高に対して一定の利子率で配分され、金融費用は連結損益計算書上で使用権資産に係る減価償却費と区分して表示されます。また、リース期間が12ヶ月以内の短期リースや原資産が少額であるリースについては、使用権資産およびリース負債を認識せず、リース料をリース期間にわたり定額法または他の規則的な基礎で認識しています。

株式会社クレハの有価証券関係について、2024年3月31日現在、子会社株式および関連会社株式は市場価格がないため、時価を記載していません。子会社株式の貸借対照表計上額は22,784百万円、関連会社株式は623百万円で、合計は23,407百万円です。主な有価証券としては、日油株式会社、東ソー株式会社、日本酸素ホールディングス株式会社、日本曹達株式会社、みずほフィナンシャルグループの株式が含まれています。受取配当金は、期末日現在で保有している投資から546百万円、期中に認識を中止した投資から19百万円の合計566百万円が計上されています。これらの有価証券は、主に取引関係の円滑化を目的として保有されており、企業価値の向上に寄与しています。

株式会社クレハは、収益を認識する際に5ステップアプローチを採用しています。ステップ1では顧客との契約を識別し、ステップ2で契約における履行義務を特定します。ステップ3では取引価格を算定し、ステップ4でその取引価格を履行義務に配分します。最後に、ステップ5で履行義務が充足された時点で収益を認識します。製品の販売に関しては、主に製品の引渡時に顧客が支配を獲得し、収益を認識します。工事やサービスの提供については、進捗度に応じて収益を認識し、工事の進捗度は見積総原価に対する発生原価の割合で測定されます。対価は履行義務の充足時点から概ね3ヶ月以内に支払いを受けることが一般的です。重要な金融要素は含まれていません。

株式会社クレハの財務諸表に関する注記事項は、連結財務諸表の理解を助けるために重要な情報を提供しています。注記事項には、会計方針、重要な会計上の見積り、リスク管理、セグメント情報、関連当事者取引、資産及び負債の内容、収益認識に関する情報が含まれています。特に、繰延税金資産の回収可能性や確定給付制度の債務に関する見積りは、将来の不確実性に影響を受ける可能性があるため、詳細に記載されています。また、貸倒引当金の計上方法や、リース取引に関する情報も注記されており、財務諸表利用者が企業の財務状況を正確に把握するための重要な資料となっています。これらの注記事項は、企業の透明性を高め、投資家や利害関係者に対する信頼性を向上させる役割を果たしています。