乾汽船株式会社

乾汽船株式会社は、主に外航海運事業を展開している企業です。2023年度から2025年度にかけての中期経営計画を策定し、資産の力を事業の力に変えることを基本方針としています。具体的には、優良な資産を活用し、安定した収益基盤を築くことを目指しています。また、従業員のやりがいを重視し、「FUN to WORK」を掲げて働きやすい環境を整備しています。2022年度の純資産額は約32,737百万円、総資産額は約47,612百万円で、自己資本比率は68.8%です。従業員数は78人で、企業の成長を支えるための人材育成にも力を入れています。今後も持続可能な成長を目指し、環境問題への取り組みやリスク管理を強化していく方針です。

乾汽船株式会社の主要な経営指標は、2023年度の連結決算において以下の通りです。売上高は29,494百万円で、前年同期比で14,773百万円減少（△33.4%）しました。営業利益は1,678百万円、経常利益は1,917百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円となり、いずれも前年同期比で大幅な減益を記録しました。特に、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で8,662百万円減少（△87.9%）しました。自己資本比率は68.8%で、安定した財務基盤を維持しています。総資産は47,612百万円、純資産は32,737百万円です。また、1株当たりの純資産額は1,304.37円、1株当たりの当期純利益は37.84円です。これらの指標は、企業の経営状況を示す重要なデータとなっています。

乾汽船株式会社は、外航海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業の3つの主要な事業を展開しています。外航海運事業では、子会社や他社から定期用船した船舶を用いて貨物輸送を行い、主にDELICA SHIPPING S.A.が当社への定期用船を担当しています。倉庫・運送事業では、顧客の物品を倉庫に保管し、保管料を収受する倉庫保管事業や、文書保管事業を行っています。また、イヌイ運送㈱とイヌイ倉庫オペレーションズ㈱がこの分野での業務を担っています。不動産事業では、勝どきエリアを中心に自社が所有する住宅や事務所を賃貸する事業を展開しています。これらの事業を通じて、安定した収益基盤を確保し、持続可能な成長を目指しています。

乾汽船株式会社は、1925年に関東土地株式会社として創立され、不動産業を開始しました。1929年には商号を乾倉庫土地株式会社に変更し、営業倉庫業を開始。1936年に乾倉庫株式会社に改名し、1961年には東京証券取引所市場第二部に上場しました。1968年にはイヌイ運送株式会社を設立し、1985年に商号をイヌイ建物株式会社に変更。1987年から賃貸マンションの営業を開始し、1989年には賃貸オフィスビルの営業も開始しました。2014年には旧乾汽船株式会社と経営統合し、商号を乾汽船株式会社に改め、東京証券取引所市場第一部に指定されました。2022年には市場区分の見直しによりスタンダード市場に移行しました。これらの歴史を通じて、企業は成長と変革を続けています。

乾汽船株式会社の財務情報は、2023年度の連結決算に基づいています。売上高は29,494百万円で、前年同期比で33.4%減少しました。営業利益は1,678百万円、経常利益は1,917百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円で、前年同期比で87.9%の減少を記録しました。総資産は47,612百万円、純資産は32,737百万円で、自己資本比率は68.8%です。キャッシュ・フローに関しては、営業活動によるキャッシュ・フローが12,315百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△6,306百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△6,373百万円となっています。現金及び現金同等物の期末残高は13,980百万円です。これらの指標は、企業の財務健全性を示す重要なデータです。

乾汽船株式会社の経営方針は、以下の3つの基本方針に基づいています。第一に「資産の力を事業の力に」であり、勝どき・月島地域の優良な資産を活用し、安定した収益基盤を築くことを目指しています。第二に「FUN to WORK」で、従業員のやりがいや生きがいを重視し、支え合う職場環境を作ることを重視しています。第三に「らしさの追求」で、独自性を大切にし、他社との差別化を図ることを目指しています。これらの方針を通じて、企業価値の向上と株主の利益を確保することを目指しています。また、2023年度から2025年度にかけての中期経営計画「不易流行」を策定し、持続可能な成長を追求しています。

乾汽船株式会社は、リスク管理体制を強化するために「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。この委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、リスクの識別・評価を行い、必要に応じて取締役会に報告します。信用リスクについては、主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、回収懸念を早期に把握する体制を整えています。市場リスクに対しては、為替予約取引や金利スワップ取引を利用し、リスクを抑制しています。また、流動性リスクについては、資金計画を適時に作成・更新し、手許流動性を維持することで管理しています。これにより、企業の持続可能な成長を支えるリスク管理を実施しています。

乾汽船株式会社の2023年度の経営成績は、売上高が29,494百万円で前年同期比14,773百万円減（△33.4%）となりました。営業利益は1,678百万円で、前年同期比11,388百万円減（△87.2%）です。経常利益は1,917百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円で、前年同期比8,662百万円減（△87.9%）となりました。外航海運事業では、市況の変動や為替の影響により売上高が21,081百万円（前年同期比41.1%減）に減少し、セグメント利益は59百万円（前年同期比99.5%減）でした。倉庫・運送事業は、売上高が3,896百万円（前年同期比2.0%減）で、セグメント利益は217百万円（前年同期比191.0%増）となりました。不動産事業は、売上高が4,516百万円で堅調に推移していますが、全体としては厳しい経営環境が続いています。

乾汽船株式会社の財政状態は、2023年度末において総資産が66,505百万円で、前年度末比3,067百万円減少しました。これは主に現金及び預金の減少によるものです。負債は34,887百万円で、前年度末比625百万円減少しました。これは未払法人税等の減少が影響しています。純資産は31,618百万円で、前年度末比2,442百万円減少しました。この減少は利益剰余金の減少によるものです。結果として、自己資本比率は49.0%から47.5%に低下しました。これらの指標は、企業の財政的な健全性を示す重要なデータであり、今後の経営戦略に影響を与える要素となります。

乾汽船株式会社の2023年度のキャッシュ・フローの状況は、現金及び現金同等物が13,980百万円で、前年同期比で6,596百万円減少しました。営業活動によるキャッシュ・フローは516百万円で、前年同期比95.8%減少しました。これは、税金等調整前当期純利益が1,918百万円、減価償却費が3,131百万円、法人税等の支払額が3,352百万円などによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは4,446百万円の支出で、前年同期比29.5%減少しました。主に固定資産の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュ・フローは3,602百万円の支出で、前年同期比43.5%減少しました。これは主に配当金の支払額によるものです。全体として、キャッシュ・フローは厳しい状況にありますが、資金の流動性を確保するための対策が求められています。

乾汽船株式会社は、サステナビリティを重要な経営課題として認識し、長期ビジョン「よくはこぶ」を掲げています。外航海運事業では、船舶を長期間有効に活用する「ご長寿お達者」を実施し、空荷航海を減少させる配船計画を運営しています。また、倉庫・運送事業では、効率的な配送ネットワークを構築するためにNPO法人と提携し、業界全体の持続可能性を高める取り組みを行っています。全社的には「Fun to Work」を掲げ、就労環境の差別をなくし、やりがいを創出する環境整備に注力しています。これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

乾汽船株式会社の事業には、いくつかのリスクが存在します。まず、船舶の安全運航や環境問題、海難事故によるリスクがあります。これにより、物理的被害や人的被害、環境破壊が発生する可能性があります。また、外航海運事業は世界経済や政治的要因に影響を受けやすく、特に中国やアメリカの景況が運賃に影響を与えます。倉庫・運送事業では、景気動向や顧客の物流コスト抑制が業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、不動産事業は賃貸市場の需給バランスや市況動向に影響されます。自然災害や人災もリスク要因であり、特に勝どき・月島エリアでの大規模災害は不動産事業に甚大な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、企業は適切な対策を講じる必要があります。

乾汽船株式会社の経営者は、2023年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を以下のように分析しています。総資産は66,505百万円で、前年同期比3,067百万円減少しました。負債は34,887百万円で625百万円減少し、純資産は31,618百万円で2,442百万円減少しました。自己資本比率は49.0%から47.5%に低下しました。経営成績では、売上高が29,494百万円で前年同期比33.4%減、営業利益は1,678百万円で87.2%減、経常利益は1,917百万円で85.7%減、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円で87.9%減少しました。キャッシュ・フローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローが516百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△6,306百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△6,373百万円となり、現金及び現金同等物は13,980百万円で6,596百万円減少しました。これらの結果は、外航海運事業の市況変動や為替の影響を受けたことが主な要因とされています。

乾汽船株式会社は、資本の財源として主に内部資金と金融機関からの借入金を利用しています。2023年度末の現金及び現金同等物は13,980百万円で、前年同期比で6,596百万円減少しました。資金の流動性を確保するため、取引銀行6行と当座貸越契約を締結しており、借入未実行残高は630百万円です。資金需要は、船舶の購入や不動産資産の維持、借入金の返済、配当金の支払いなど多岐にわたります。また、プラザ勝どきの大型再開発計画も進行中で、数百億円規模の工事費が見込まれています。これに対して、資金面での備えが必要とされています。資金調達は、運転資金を内部資金や短期借入金で賄い、設備資金は長期借入金で調達する方針です。

乾汽船株式会社の経営成績に重要な影響を与える要因は、主に外航海運事業の市況変動、為替リスク、及び自然災害などです。外航海運事業では、中国不動産市場の長期低迷が影響し、運賃市況が軟調に推移しました。特に、ハンディサイズ船の供給が滞る可能性があり、これが業績に悪影響を及ぼす要因となっています。また、為替変動により、米ドル建ての収入と円建ての支出のバランスが崩れるリスクも存在します。さらに、自然災害や人災による影響も無視できず、特に勝どき・月島エリアでの大規模災害は不動産事業に甚大な影響を与える可能性があります。これらの要因を踏まえ、企業はリスク管理を強化し、持続可能な成長を目指す必要があります。

乾汽船株式会社の経営者は、現在の経営環境における問題認識として、外航海運事業の市況変動や為替リスク、自然災害の影響を挙げています。これらの要因が経営成績に与える影響を深く理解し、持続可能な成長を目指すための方針を策定しています。具体的には、資産の力を事業の力に変えることを基本方針とし、勝どき・月島地域の優良な資産を活用して安定した収益基盤を築くことを目指しています。また、従業員のやりがいを重視し、「FUN to WORK」を掲げて働きやすい環境を整備することにも注力しています。さらに、独自性を追求し、他社との差別化を図る「らしさ」の追求を通じて、企業価値の向上を図る方針です。これらの方針を実現するために、2023年度から2025年度にかけての中期経営計画を策定し、具体的な施策を実行していくことを表明しています。

乾汽船株式会社は、経営上の重要な契約として、社外取締役及び監査役との責任限定契約を締結しています。この契約により、社外取締役及び監査役の損害賠償責任が法令で定められた額に限定され、善意でかつ重大な過失がない場合に適用されます。また、取締役及び監査役に対する補償契約も締結しており、法令の範囲内で発生した費用や損失を補償することが定められています。ただし、悪意や重大な過失による損失は補償の対象外です。さらに、役員等賠償責任保険契約も締結しており、被保険者がその地位に基づいて行った行為に起因する損害賠償請求に対して、法律上の損害賠償金及び争訟費用を補償します。これらの契約は、経営の透明性と責任を確保するための重要な措置です。

乾汽船株式会社は、研究開発活動において「Basic」と「Advance」の2つのテーマを設定し、2023年度から2027年度までの5年間で新たな業域を開拓することを目指しています。「Basic」では、現場力や働きやすさの向上を追求し、倉庫オペレーションシステム（SOS）のデジタル化を進め、業務設計力を強化することに注力しています。「Advance」では、配送マッチングサービスを活用した新しい仕組みの提案や、現場の業務要件を見直すことで多様な働き方を可能にする取り組みを行っています。また、既存の倉庫業ネットワークのデジタル結合を進め、効率的な運用を目指しています。これらの取り組みを通じて、企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現することを目指しています。

乾汽船株式会社の設備の状況について、2023年度に実施した設備投資の総額は3,289百万円で、内訳は外航海運事業が2,584百万円、倉庫・運送事業が47百万円、不動産事業が653百万円、その他が4百万円となっています。主要な設備の帳簿価額は、外航海運事業の船舶設備が23,917百万円、倉庫・運送事業の倉庫用の土地、建物及び構築物が3,143百万円、不動産事業の賃貸住宅や賃貸オフィス用の建物が12,607百万円です。設備の新設や除却等の計画は特にありませんが、外航海運事業では新たに4隻の船舶を建造する計画があり、投資予定金額は20,932百万円です。これにより、企業の競争力を高めることを目指しています。

乾汽船株式会社の株式の状況について、2024年3月31日現在の発行済株式数は2,767万株で、自己株式は974,493株です。株主資本は、資本金が2,767百万円、資本剰余金が11,668百万円、利益剰余金が16,763百万円で、株主資本合計は30,246百万円となっています。株主の構成は、個人株主が53.06%、法人株主が46.94%を占めています。大株主には、日本マスタートラスト信託銀行が1,896千株（7.56%）を保有しています。また、当期の配当金は4,534百万円で、安定した配当政策を維持しています。株価は、2024年3月31日現在で21.8倍の株価収益率を示しています。これらの情報は、企業の株式市場における位置付けや株主還元の方針を示す重要な指標です。

乾汽船株式会社の配当政策は、「事業特性」、「中長期的成長を重視した経営資源の配分」、「財務基盤」の3つのバランスを考慮した株主還元策を基本としています。業績にかかわらず一定水準の配当を安定的に維持することを目指し、「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」という基本方針を掲げています。具体的には、悪いときの最低配当額を年間6円と定め、良いときには配当性向を30%から45%の範囲で設定しています。中間配当と期末配当の年2回の剰余金配当を行い、決定機関は中間配当が取締役会、期末配当が株主総会です。2023年度の配当は1株当たり年間14円28銭とし、次期の配当予想は1株当たり13円66銭を予定しています。内部留保は中長期的な収益基盤の強化に活用される方針です。

乾汽船株式会社は、コーポレート・ガバナンス体制の構築において、経営の健全性、透明性、効率性を高めることを重要な経営課題としています。取締役の任期を1年とし、社外取締役及び社外監査役を選任することで、経営責任の明確化と株主の信任を得ることを目指しています。取締役会は5名で構成され、そのうち3名は独立した社外取締役です。この体制により、経営判断の迅速性を確保しつつ、監督機能の実効性を高めています。また、任意の指名・報酬委員会を設置し、独立社外取締役が過半数を占めることで、透明性の高い報酬制度を実現しています。これにより、株主の利益を最大化するための取り組みを強化しています。

乾汽船株式会社の役員は、取締役5名、監査役4名で構成されています。取締役会は、代表取締役社長の乾康之氏を議長とし、社外取締役3名を含む構成で、取締役会の出席率は高く、2024年3月期には全員が出席しています。監査役会は4名で、常勤社外監査役1名、非常勤社外監査役2名、非常勤監査役1名で構成され、監査役の出席率も100%です。役員の選任は、取締役会の諮問機関である指名・報酬委員会によって行われ、独立性を重視した構成が確保されています。役員の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系が採用されています。これにより、経営の透明性と責任を確保し、株主の信任を得ることを目指しています。

乾汽船株式会社の監査の状況について、監査役会は常勤社外監査役1名、非常勤社外監査役2名、非常勤監査役1名で構成され、定期的に監査役会を開催しています。監査役は取締役会に出席し、経営上の重要事項に関する説明を聴取し、職務執行の適法性・妥当性を監査しています。内部監査部門である監査室は、監査の報告や改善提案を取締役会に提供し、社外取締役との情報連携を図っています。また、会計監査人による監査も行われ、四半期ごとに監査結果の説明を受けています。監査役会は、監査報告書の作成や監査方針の決定、会計監査人の選解任に関する事項を検討し、監査の重要事項を協議しています。これにより、企業の透明性と信頼性を確保するための体制が整っています。

乾汽船株式会社の役員の報酬等について、2023年度の役員報酬は304百万円で、前年の263百万円から増加しています。報酬は、固定金銭報酬と業績連動金銭報酬、株式報酬で構成されており、業務執行取締役には金銭報酬（基本報酬及び業績連動報酬）と株式報酬が支給されます。社外取締役には、基本報酬と株式報酬のみが支給され、役員賞与や退職慰労金は設けられていません。報酬の決定は、指名・報酬委員会の答申を基に取締役会で行われ、株主総会での決議に基づいています。取締役の報酬は、2008年の株主総会で年額200百万円以内と決議されており、譲渡制限付株式の付与についても2018年の株主総会で年額60百万円以内とされています。これにより、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能しています。

乾汽船株式会社の株式の保有状況について、2024年3月31日現在、発行済株式総数は26,072,960株で、そのうち自己株式は974,493株（約3.74%）を保有しています。自己株式の取得は、株主総会や取締役会の決議によるものではなく、主に単元未満株式の買取や譲渡制限付株式報酬としての処分によるものです。大株主には、株式会社みずほ銀行、みずほ証券株式会社、みずほ信託銀行株式会社、アセットマネジメントOne株式会社が含まれ、合計で約5.09%の株式を保有しています。これにより、企業は株主との関係を強化し、経営の透明性を高めることを目指しています。

乾汽船株式会社の経理の状況について、2023年度の連結財務諸表は、売上高が29,494百万円で前年同期比14,773百万円減少（△33.4%）しました。営業利益は1,678百万円、経常利益は1,917百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円で、いずれも前年同期比で大幅な減益を記録しました。総資産は66,505百万円で、現金及び預金の減少により前年度末比3,067百万円減少しました。負債は34,887百万円で625百万円減少し、純資産は31,618百万円で2,442百万円減少しました。自己資本比率は49.0%から47.5%に低下しました。キャッシュ・フローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローが12,315百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△6,306百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△6,373百万円となり、現金及び現金同等物は13,980百万円で6,596百万円減少しました。これらの指標は、企業の経営状況を示す重要なデータとなっています。

乾汽船株式会社の連結財務諸表は、2023年度の連結損益計算書において、売上高が29,494百万円、売上原価が26,268百万円、営業利益が1,678百万円、経常利益が1,917百万円、当期純利益が1,194百万円となっています。前年同期の売上高は44,267百万円で、前年同期比で大幅な減少が見られます。連結包括利益計算書では、当期純利益が1,194百万円で、その他の包括利益が833百万円となり、包括利益は2,028百万円です。連結貸借対照表では、総資産が66,505百万円、負債が34,887百万円、純資産が31,618百万円で、自己資本比率は47.5%です。これらの財務諸表は、EY新日本有限責任監査法人によって監査されており、適正に表示されていると認められています 。

乾汽船株式会社のセグメント情報は、主に「外航海運事業」、「倉庫・運送事業」、「不動産事業」の3つの報告セグメントに分かれています。2023年度の外航海運事業の売上高は21,081百万円、倉庫・運送事業は3,896百万円、不動産事業は4,516百万円で、合計29,494百万円となっています。セグメント利益は、外航海運事業が59百万円、倉庫・運送事業が217百万円、不動産事業が2,359百万円で、全体のセグメント利益は2,636百万円です。セグメント資産は、外航海運事業が34,852百万円、倉庫・運送事業が4,505百万円、不動産事業が12,698百万円で、合計52,055百万円となっています。セグメント負債は、外航海運事業が21,835百万円、倉庫・運送事業が854百万円、不動産事業が2,117百万円で、合計24,808百万円です。これらの情報は、各事業の業績を把握するための重要な指標となります。

乾汽船株式会社の重要な会計方針及び見積りに用いた仮定について、主に航海日割基準に基づく収益認識が挙げられます。期末日を跨ぐ自主運航の航海については、各航海の収益総額に見積総航海日数に対する期末日時点の進捗率を乗じて計上しています。この見積りには、将来の航行スケジュールや予想停泊期間などの仮定が含まれ、これらは不確実性を伴います。将来の航行スケジュールは気象や港の混雑状況によって変動するため、総航海日数が変動した場合、翌連結会計年度の財務諸表に影響を与える可能性があります。また、繰延税金資産の回収可能性については、将来の収益力に基づく課税所得及びタックスプランニングにより判断され、経済動向の変化によって影響を受ける可能性があります。これらの見積りは、企業の財務状況に重要な影響を与える要素となっています。

乾汽船株式会社の金融商品関係について、2024年3月31日現在の連結貸借対照表における金融商品の時価は、以下の通りです。株式は3,658百万円、投資信託は3百万円、長期貸付金は1,126百万円、デリバティブ取引のうち商品関連は27百万円、為替関連は23百万円です。これに対し、負債として長期借入金は25,959百万円、受入保証金は1,293百万円となっています。金融商品の時価は、観察可能な市場価格に基づいて評価され、上場株式はレベル1、投資信託や長期貸付金はレベル2に分類されています。デリバティブ取引は、将来の為替・金利・燃料価格の変動リスクを回避するために利用されており、リスクの高い投機的な取引は行わない方針です。これにより、企業は安定した財務基盤を維持し、リスク管理を強化しています。

乾汽船株式会社のリース取引関係について、2024年3月31日現在の状況は以下の通りです。借主側のファイナンス・リース取引では、主にコンピューター端末機や倉庫・運送事業における車両がリース資産として計上されています。無形固定資産としてはソフトウェアが含まれています。リース資産の減価償却は、リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法が採用されています。オペレーティング・リース取引においては、解約不能のものに係る未経過リース料が、1年内で3百万円、1年超で2百万円、合計5百万円となっています。貸主側のファイナンス・リース取引は該当事項がなく、オペレーティング・リース取引に関しても特に記載はありません。これにより、企業は安定した資産運用を図っています。

乾汽船株式会社の有価証券関係について、2024年3月31日現在の状況は以下の通りです。満期保有目的の債券は該当事項がありません。その他有価証券のうち、株式は3,250百万円で取得原価は1,232百万円、差額は2,018百万円となっています。債券については、国債・地方債等、社債、その他は該当事項がありません。連結貸借対照表計上額が取得原価を超えない株式は407百万円で、取得原価は463百万円、差額は△56百万円です。市場価格のない株式等の貸借対照表計上額は662百万円です。これらの情報は、企業の資産状況を把握するための重要な指標となります。

乾汽船株式会社の収益認識関係について、主に外航海運事業における収益は運賃収入と貸船料収入から構成されています。運賃収入は船舶の自主運航によるもので、航海日割基準に基づき、航海の進捗に応じて収益を認識します。貸船料収入には、定期用船契約による収入と空荷航海の燃料費相当額に対する収入（バラストボーナス）が含まれ、定期用船契約による収入は貸渡期間に応じて、バラストボーナスは船舶を用船者に引き渡した時点で収益を認識します。また、収益は顧客との契約において約束された対価から値引き等を控除した金額で測定されます。契約資産は営業未収金、契約負債は顧客からの前受金を示し、収益の認識に伴い取り崩されます。2023年度に認識された収益のうち、契約負債に含まれていた金額は493百万円です。

乾汽船株式会社の財務諸表に関する注記事項は、連結財務諸表の作成において重要な情報を提供しています。注記事項には、連結の範囲、持分法の適用、会計方針、重要な資産の評価基準、及び評価方法が含まれています。具体的には、連結子会社の数は3社（DELICA SHIPPING S.A.、イヌイ運送㈱、イヌイ倉庫オペレーションズ㈱）であり、すべての連結子会社の事業年度は連結決算日と一致しています。また、重要な資産の評価基準として、有価証券は満期保有目的の債券が償却原価法で評価され、その他有価証券は時価で評価されています。さらに、収益認識に関する注記もあり、顧客との契約から生じる収益の金額が記載されています。これらの注記事項は、投資家や利害関係者に対して企業の財務状況を理解するための重要な情報を提供します。