株式会社大林組

株式会社大林組は、建設業を中心とした企業で、国内外での建築工事や土木工事を手掛けています。主な報告セグメントは「国内建築事業」、「海外建築事業」、「国内土木事業」、「海外土木事業」、「不動産事業」の5つです。2023年度の剰余金の配当は、取締役会決議により15,076百万円（1株当たり21円）、株主総会決議により38,768百万円（1株当たり54円）となっています。また、企業は2026年度までに自己資本当期純利益率（ROE）10％の達成を目指し、配当方針を見直しています。さらに、企業は強力なコーポレート・ガバナンス体制を構築し、社会からの信頼を得ることを目指しています。

株式会社大林組の主要な経営指標は、以下の通りです。2020年度から2024年度までの売上高は、2020年度が1,416,361百万円、2021年度が1,230,418百万円、2022年度が1,374,132百万円、2023年度が1,387,028百万円、2024年度が1,582,199百万円と、2024年度に大幅な増加が見込まれています。経常利益は、2020年度が121,614百万円、2021年度が103,894百万円、2022年度が19,563百万円、2023年度が71,178百万円、2024年度が55,400百万円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益は、2020年度が88,480百万円、2021年度が81,237百万円、2022年度が18,843百万円、2023年度が62,558百万円、2024年度が49,650百万円です。自己資本比率は、2020年度が38.5％、2021年度が42.5％、2022年度が40.2％、2023年度が39.0％、2024年度が38.9％と安定しています。

株式会社大林組は、建設事業と不動産事業を主な業務として展開しています。具体的には、国内建築事業、海外建築事業、国内土木事業、海外土木事業の4つのセグメントに分かれています。国内建築事業では、建築工事の受注と施工を行い、子会社が内装工事や建設用資機材の販売を担当しています。海外建築事業では、北米や東南アジアでの建築工事を手掛けています。土木事業においても、国内外での工事を行い、特に国内では大林道路株式会社が重要な役割を果たしています。また、不動産事業では、売買や賃貸、宅地開発を行い、関連会社がこれに関与しています。さらに、再生可能エネルギー事業やICT関連事業も展開しており、幅広い事業領域を持つ企業です。

株式会社大林組は、1892年1月に大林芳五郎が大阪市で個人企業として創業し、土木建築の請負を始めたのが起源です。1909年7月に合資会社大林組に改組し、1918年12月には株式会社に移行しました。1936年12月には株式会社第二大林組が設立され、翌年に旧株式会社大林組を吸収合併し、商号を株式会社大林組に変更しました。営業網の拡充も進め、1906年には東京支店、1919年には小倉支店を設置し、1925年には横浜支店と名古屋支店を開設しました。1931年には内外木材工芸株式会社を設立し、1933年には道路舗装工事を行う東洋鋪装株式会社を設立するなど、新たな事業分野への進出も行っています。これにより、企業の成長と多様な事業展開が進んでいます。

株式会社大林組の財務情報は以下の通りです。2024年3月31日現在、売上高は2,325,162百万円、経常利益は91,515百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は75,059百万円です。総資産は3,017,047百万円、純資産は1,194,810百万円で、自己資本比率は38.2％です。2023年度の営業活動によるキャッシュ・フローは50,399百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは-84,471百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは-51,922百万円でした。現金及び現金同等物の期末残高は326,688百万円です。また、従業員数は16,986人で、企業の成長を支えています。

株式会社大林組の経営方針は、長期的な視点に立った経営を基本とし、効率化と収益力の向上を目指しています。具体的には、投下資本利益率（ROIC）を中期的な経営指標として設定し、2026年度までに自己資本当期純利益率（ROE）を10％以上に引き上げることを目指しています。また、資本効率性を重視し、必要自己資本の水準を1兆円と定め、戦略的な資本政策を実施しています。さらに、生産性の向上や新技術によるコストダウンに注力し、採算性を重視した受注戦略を推進しています。これにより、持続的な成長を実現し、企業価値の向上を図ることを目指しています。

株式会社大林組は、企業活動に伴うリスクを的確に把握し、その防止や影響の最小化に努めています。リスク管理体制は、各部門が業務プロセスに内在するリスクを把握し、必要な回避策や低減策を講じることを基本としています。内部統制監査室が定期的に各部門のリスク管理状況を監査し、リスク情報は機能別リスク管理委員会やサステナビリティ分野専門委員会に報告されます。また、危機管理対策規程を整備し、万一の危機発生時には迅速かつ適切な対応を行う体制を構築しています。さらに、労働安全衛生マネジメントシステムを整備し、全従業員の安全と健康を確保するための取り組みを行っています。

株式会社大林組の経営成績は、2024年度において売上高が2兆3,251億円となり、前年度比で3,412億円（17.2％）の増加を記録しました。特に、国内・海外建築事業における大型工事の進捗が寄与しています。しかし、営業利益は793億円で、前年度比144億円（15.4％）減少しました。これは、過年度に計上した工事損失引当金の影響や、海外土木事業での貸倒引当金の計上が要因です。経常利益は915億円、親会社株主に帰属する当期純利益は750億円で、いずれも前年を下回っています。財政状態では、総資産が3兆170億円、純資産が1兆1,948億円に達し、自己資本比率は38.2％です。

株式会社大林組の財政状態は、2024年3月31日現在、資産合計が3兆7,170億円で、前年度比4,071億円（15.6％）の増加を示しています。これは、工事代金債権の増加や政策保有株式の時価上昇によるものです。負債合計は1兆8,222億円で、前年度比2,481億円（15.8％）増加しました。これは、工事代金の支払に係る債務の増加が主な要因です。純資産合計は1兆1,948億円で、前年度比1,589億円（15.3％）の増加を記録しました。自己資本比率は38.2％で、安定した財政基盤を維持しています。これにより、企業は今後の投資や事業展開に向けた資金調達の余地を確保しています。

株式会社大林組のキャッシュ・フローの状況は、2024年度において営業活動によるキャッシュ・フローが503億円のプラスとなりました。これは、国内の建設事業収支が低水準にとどまったことが影響しています。投資活動によるキャッシュ・フローは844億円のマイナスで、主に事業用不動産の取得が要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは519億円のマイナスで、配当金の支払いや社債の償還が影響しています。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は326億円となり、前年度末に比べ789億円減少しました。全体として、キャッシュ・フローの状況は厳しいものとなっていますが、企業は安定した資金確保を目指しています。

株式会社大林組は、「地球に優しい」リーディングカンパニーを企業理念に掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。創業以来の精神である「良く、廉く、速い」を基に、全社員が「大林組基本理念」を実践し、社会的責任を果たすことに努めています。2019年には「Obayashi Sustainability Vision 2050」を策定し、ESG経営を基盤に企業価値の向上と社会課題の解決に取り組んでいます。具体的には、気候変動への対応やダイバーシティ推進、グリーンエネルギーの活用などを重点テーマに設定し、各事業の成長性と収益性を検証しながら最適な事業ポートフォリオを構築しています。これにより、持続可能な社会の実現に向けた具体的なアクションプランを推進しています。

株式会社大林組は、事業運営において様々なリスクに直面しています。主なリスクには、法的規制の変更、建設市場の動向、施工物の不具合や重大事故、取引先の信用リスク、労務単価や建設資材価格の変動、海外事業におけるリスクなどがあります。これらのリスクに対して、同社は品質マネジメントシステムの国際認証取得や、与信確認の徹底、リスクヘッジのための保険加入などの対策を講じています。また、長期的な事業計画に基づき、リスクの分散や最小化に向けた取り組みを行い、特に大規模自然災害や感染症の影響を考慮した事業継続計画（BCP）を策定しています。これにより、企業の安定性を確保し、持続可能な成長を目指しています。

株式会社大林組の経営者は、2024年度の経営成績について、売上高が2兆3,251億円と前年度比17.2％増加したことを評価しています。これは、国内外の大型工事の進捗によるもので、特に公共工事の発注が堅調であることが寄与しています。しかし、経常利益は91,515百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は75,059百万円と、前年を下回っています。これは、不動産事業の反動減や海外土木事業での貸倒引当金の計上が影響しています。キャッシュ・フローの状況では、営業活動によるキャッシュ・フローが503億円のプラスとなった一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは844億円のマイナスとなり、現金及び現金同等物の期末残高は326億円に減少しました。全体として、企業は安定した財政基盤を維持しつつ、今後の成長に向けた課題に取り組んでいます。

株式会社大林組は、運転資金の需要として主に建設事業に係る工事費や販売費、一般管理費を挙げています。投資資金の需要は、研究開発費用や工事機械の取得、不動産賃貸事業、グリーンエネルギー事業に関連する施設購入費用が含まれます。資金の安定的な確保を基本方針としており、短期運転資金は自己資金や金融機関からの短期借入金、コマーシャル・ペーパーの発行で確保しています。長期運転資金や設備投資資金は、自己資金、長期借入金、社債の発行などで調達しています。2024年度末の有利子負債残高は3,238億円、現金及び現金同等物の残高は3,266億円です。これにより、流動性の確保と資金調達の柔軟性を維持しています。

株式会社大林組の経営成績に重要な影響を与える要因として、主に市場動向、法的規制、施工品質、取引先の信用リスク、労務単価及び建設資材価格の変動が挙げられます。特に、国内外の景気後退が建設市場に与える影響は大きく、受注量の減少が業績に直結します。また、法的規制の改廃や新設も事業運営に影響を及ぼし、対応費用が発生する可能性があります。施工物の不具合や重大事故が発生した場合、多額の補償費用がかかることもリスク要因です。さらに、取引先の信用不安が顕在化すると、資金回収の遅延や事業遅延が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して、同社は品質管理体制の強化や与信確認の徹底、リスクヘッジ策を講じています。

株式会社大林組の経営者は、経営成績の向上に向けて、投下資本利益率（ROIC）を経営指標として重視し、必要自己資本の水準を1兆円に設定しています。また、自己資本当期純利益率（ROE）を2026年度までに10％以上に引き上げることを目指しています。生産性の向上や新技術によるコストダウンを進め、採算性を重視した受注戦略を実施しています。特に、2023年に発生した重大災害を受けて、安全最優先の取り組みを強化し、全社的な安全対策を見直しています。今後は、国内建設事業を中核に、他の事業も同等以上の業績を上げる体制を構築し、持続的成長を目指す方針です。これにより、企業価値の向上を図り、ステークホルダーの信頼を回復することを目指しています。

株式会社大林組は、経営上の重要な契約として、主に建設工事契約や不動産販売契約を挙げています。これらの契約は、収益認識の基準に基づき、工事の進捗度に応じて収益を計上する仕組みとなっています。特に、工事契約においては、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、工事収益総額や工事原価総額を基に収益を認識しています。また、コミットメントライン契約を締結しており、契約極度額は100,000百万円で、流動性の確保に寄与しています。これにより、資金調達の柔軟性を維持し、事業運営の安定性を図っています。さらに、役員等賠償責任保険契約を締結し、経営者のリスクを軽減する取り組みも行っています。

株式会社大林組は、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全やエネルギー対策に貢献する技術の開発を行っています。2024年度の研究開発費用は165億円で、主な成果には、空調用誘引ユニット「in-DUCT™」や、デジタルツインを構築するアプリ「CONNECTIA」が含まれます。「in-DUCT™」は大空間向けの空調システムで、結露を抑制しつつ大風量を実現します。また、「CONNECTIA」は、誰でも簡単にデジタルツインを構築できるアプリで、施工管理の効率化を図ります。さらに、AIを活用した杭支持層到達確認システム「PiRuler-GEO™」や、CFRPの廃棄物を再利用する「リカボクリート™工法」なども開発されており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められています。

株式会社大林組の設備の状況について、2024年度の設備投資は合計で782億円となりました。内訳は、建設事業において施工能力の向上を目的とした機械設備及び業務処理の効率化を図る情報関連設備に224億円、不動産事業において賃貸事業用不動産の取得に456億円、その他の事業に102億円が投資されました。重要な設備の除却や売却は行われておらず、安定した設備基盤を維持しています。また、主要な設備の帳簿価額は、東京本店が11,106百万円、大阪本店が5,701百万円、東日本ロボティクスセンターが1,561百万円となっています。今後の設備投資計画として、次年度は660億円を予定しており、特に不動産事業における賃貸事業用不動産の取得が重視されています。

株式会社大林組の株式の状況について、2024年3月31日現在、発行済株式総数は721,509千株で、自己株式は3,570,088株です。株主構成は、個人株主が約15.93％、金融機関が約35.35％、外国法人等が約36.06％を占めています。主要な株主には、日本マスタートラスト信託銀行が124,302千株（17.31％）を保有しています。また、政策保有株式の残高は4,035億円で、前年度比で増加しています。これは、株価の上昇によるもので、売却合意済額は716億円です。大林組は、政策保有株式の見直しを進めており、2027年3月末までに連結純資産の20％以内に縮小することを目指しています。

株式会社大林組の配当政策は、企業価値の向上を目指し、長期安定配当の維持を第一に考えています。具体的には、「自己資本配当率（DOE）5％程度」を目安とした配当を行う方針です。2023年度の配当金は、2023年6月28日の定時株主総会で決議された普通株式に対する配当金15,078百万円（1株当たり21円）と、2023年11月6日の取締役会で決議された配当金15,076百万円（1株当たり21円）があります。また、2024年6月27日には、期末配当として38,768百万円（1株当たり54円）の支払いが予定されています。配当の決定機関は、中間配当が取締役会、期末配当が株主総会となっており、利益剰余金を原資としています。今後も、利益の状況に応じて特別配当や自己株式取得などの手法を用いて、株主還元を機動的に実施する方針です。

株式会社大林組は、強力なコーポレート・ガバナンス体制を構築し、経営の透明性と健全性を高めることを重視しています。監査役会設置会社として、株主総会、取締役会、監査役、会計監査人などの法律上の機関を設置し、経営会議や執行役員制度を通じて迅速な意思決定を実現しています。取締役会は社外取締役が過半数を占め、経営の透明性と客観性を確保しています。また、内部統制システムを整備し、法令遵守を確保するための体制を構築しています。さらに、ESG経営の推進に向けて、取締役の報酬にESG指標を組み込むなど、持続可能な成長を目指した取り組みを行っています。

株式会社大林組の役員構成は、取締役会において社内取締役4名、社外取締役5名を含む合計9名で構成されています。取締役会長は大林剛郎氏が務め、業務執行機能のトップである社長は蓮輪賢治氏です。取締役会は社外取締役が過半数を占めており、経営監督機能の強化が図られています。また、監査役会は社外監査役3名を含む5名で構成され、監査役会の議長は社内監査役の岡野英一郎氏が務めています。役員の出席率は高く、取締役会は全ての会議で出席率100％を達成しています。役員報酬は業績連動型で、取締役会が定めた基準に基づき支給されています。これにより、経営の透明性と健全性が確保されています。

株式会社大林組の監査の状況について、2023年度の監査は、連結財務諸表に対して行われ、監査法人が我が国の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して適正に表示されていると認めています。監査法人は、内部統制の有効性を評価し、特に工事原価総額の見積りや賃貸等不動産の減損の兆候判定について重点的に検討しました。監査役会は、監査役の活動状況を評価し、法令遵守や内部統制システムの適正な構築・運用状況を確認しています。監査役は取締役会や経営会議に出席し、必要に応じて意見を述べ、業務監査や子会社ヒアリングを実施しています。これにより、企業の透明性と信頼性を高める取り組みが行われています。

株式会社大林組の役員の報酬制度は、優秀な人材を確保し、業績向上に対するインセンティブを提供することを目的としています。2023年度の報酬は、基本報酬に加え、業績連動金銭報酬（賞与）及び業績連動株式報酬から構成されています。基本報酬は役位に応じて定められ、業績連動報酬は短期業績連動報酬（STI）と中長期業績連動報酬（LTI）に分かれています。2023年度の役員報酬の総額は667百万円で、内訳は固定報酬489百万円、業績連動報酬177百万円です。監査役の報酬は102百万円で、すべて固定報酬となっています。業績連動報酬は、連結営業利益やEPSを基に算定され、報酬委員会の審議を経て取締役会で決定されます。

株式会社大林組の株式の保有状況について、2024年度の保有株式数は、主に国内建築事業及び土木事業における収益の維持・向上を目的として保有されています。特に、持株会の持分増加に伴い、保有株数が増加しており、2024年度には3,495株の増加が見られました。また、京王電鉄株式会社の株式も241,114株保有しており、こちらも同様の目的で保有されています。その他、名古屋鉄道株式会社や広島電鉄株式会社など、複数の企業の株式を保有しており、これらは全て国内建築事業及び土木事業に関連した収益の維持・向上を目的としています。

株式会社大林組の経理の状況について、2024年度の連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結貸借対照表では、総資産が3兆7,170億円、負債が1兆8,222億円、純資産が1兆1,948億円となっており、自己資本比率は38.2％です。連結損益計算書では、売上高が2兆3,251億円、経常利益が915億円、親会社株主に帰属する当期純利益が750億円です。また、連結キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが503億円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが844億円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローが519億円のマイナスとなっています。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は3,266億円となり、安定した経理状況を維持しています。

株式会社大林組の連結財務諸表は、2024年度において、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書から構成されています。2024年3月31日現在、総資産は3兆7,170億円、負債は1兆8,222億円、純資産は1兆1,948億円で、自己資本比率は38.2％です。売上高は2兆3,251億円、経常利益は915億円、親会社株主に帰属する当期純利益は750億円です。キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが503億円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが844億円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローが519億円のマイナスとなっています。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は3,266億円となり、安定した財務基盤を維持しています。

株式会社大林組のセグメント情報は、主に「国内建築事業」、「海外建築事業」、「国内土木事業」、「海外土木事業」、「不動産事業」の5つの報告セグメントに分かれています。2024年度の売上高は、国内建築事業が1兆2,641億円、海外建築事業が4,578億円、国内土木事業が3,693億円、海外土木事業が1,153億円、不動産事業が668億円となり、合計で2兆3,251億円です。営業利益は、国内建築事業が242億円、海外建築事業が129億円、国内土木事業が263億円、海外土木事業が-378億円、不動産事業が172億円で、全体の営業利益は793億円です。また、地域別の売上高は、日本が1兆7,462億円、北米が3,846億円、アジアが1,871億円、その他が706億円となっています。

株式会社大林組の重要な会計方針には、工事契約における収益認識方法が含まれています。具体的には、「一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法」を適用し、工事収益総額、工事原価総額及び進捗度を見積もります。工事損失引当金は、工事原価総額が工事収益総額を超過する場合に計上されます。主要な仮定としては、追加請負金の獲得可能性、建設資材や労務の数量、調達単価、原価の低減活動の実現可能性などが挙げられます。これらの仮定は、最新の工事施工状況や発注者との協議に基づいて合理的に設定されています。これらの見積りは、工事の進行状況や市場環境の変化により影響を受ける可能性があり、見積りの見直しが必要となる場合があります。

株式会社大林組の金融商品関係について、資金調達は主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行を通じて行われています。一時的な余剰資金運用は、安全性の高い短期的な預金等に限定されています。デリバティブ取引は、特定の資産及び負債に係る価格変動や金利変動のリスクをヘッジする目的で利用され、短期的な売買差益を目的とした取引は行われていません。営業債権に関しては、顧客の信用リスクを考慮し、受注時の審査を厳格に行い、必要に応じて債権保全策を実施しています。また、有価証券及び投資有価証券は主に株式であり、市場価格の変動リスクが存在しますが、定期的に時価を把握しています。

株式会社大林組のリース取引関係について、オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、2024年3月31日現在、借主側で1年内が2,599百万円、1年超が13,435百万円、合計で16,034百万円となっています。貸主側では、1年内が9,874百万円、1年超が68,480百万円、合計で78,355百万円です。これにより、リース取引は安定した資金調達手段として機能しており、特に長期的な設備投資に対する資金の流動性を確保する役割を果たしています。また、リース資産については、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産は、リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しています。

株式会社大林組の有価証券関係について、2024年3月31日現在、投資有価証券は1,279百万円、関係会社株式は260百万円で、合計で1,540百万円となっています。前年度の合計は7,018百万円であったため、減少が見られます。これらの有価証券は、主に関係会社の債務の担保目的で差し入れられています。また、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づき、供託している資産もあり、2024年度の有価証券は15百万円、投資有価証券は10百万円です。なお、上記資産に対応する担保付債務は存在しません。これにより、企業は安定した資金運用を行い、リスク管理を強化しています。

株式会社大林組の収益認識関係について、工事契約に基づく収益は「一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法」によって計上されています。2024年度の完成工事高は2,055,886百万円、工事損失引当金は33,149百万円です。この方法では、工事収益総額、工事原価総額及び履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、進捗度に基づいて収益を認識します。進捗度の見積りは、工事原価総額の見積額に対する発生原価の割合（インプット法）で算出されます。また、工事契約において、工事原価総額が工事収益総額を超過する場合には、工事損失引当金を計上します。これにより、収益認識の透明性と合理性が確保されています。

株式会社大林組の財務諸表に関する注記事項は、重要な会計方針や見積りに用いた仮定、及び特定の取引に関する詳細を含んでいます。2024年度の財務諸表では、工事契約に基づく収益認識方法として「一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法」が適用され、完成工事高は1,472,370百万円、工事損失引当金は32,932百万円とされています。また、賃貸等不動産の減損に関しては、減損損失が1,871百万円計上されており、賃貸等不動産の個別貸借対照表計上額は185,130百万円です。これらの注記事項は、財務諸表の透明性を高め、投資家や利害関係者に対する情報提供を強化する役割を果たしています。