株式会社デンソー

株式会社デンソーは、2024年3月31日現在、親会社所有者に帰属する持分は5,534,986百万円、資産合計は9,093,370百万円です。1株当たり親会社所有者帰属持分は1,901.56円、基本的1株当たり当期利益は104.97円です。親会社所有者帰属持分比率は60.87%、親会社所有者帰属持分当期利益率は6.31%です。営業活動によるキャッシュ・フローは961,826百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは-459,487百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは-496,659百万円です。従業員数は170,932人で、平均臨時雇用者数は31,431人です。デンソーは、持続的成長を目指し、設備投資や研究開発に資金を活用し、長期的な株主還元を行っています。

株式会社デンソーの主要な経営指標は以下の通りです。2024年3月期の売上収益は7,144,733百万円、営業利益は380,599百万円、当期利益は355,573百万円です。親会社の所有者に帰属する当期利益は312,791百万円、当期包括利益は1,557,640百万円となっています。資産合計は9,093,370百万円、親会社所有者に帰属する持分は5,534,986百万円です。1株当たり親会社所有者帰属持分は1,901.56円、基本的1株当たり当期利益は104.97円です。親会社所有者帰属持分比率は60.87%、親会社所有者帰属持分当期利益率は6.31%です。これらの指標は、企業の成長性や収益性を示す重要なデータです。

株式会社デンソーは、自動車部品の製造・販売を主な事業としています。連結会社は193社、関連会社は70社で構成され、日本、北米、欧州、アジアなどの地域で事業を展開しています。主要製品には、HVACシステム、コンプレッサ、エンジン機器、噴射機器などが含まれ、特に自動車用の熱管理製品や燃料噴射システムに強みを持っています。また、商用車向けのエアコンや冷凍機も製造しています。デンソーは、顧客に対して完成品を供給することを基本としており、製品の納入時に収益を認識します。これにより、持続的な成長を目指し、研究開発や設備投資を行っています。

株式会社デンソーは、1949年12月にトヨタ自動車工業株式会社から分離独立し、資本金1,500万円で設立されました。1951年12月には名古屋証券取引所に上場し、1953年には東京・大阪の各証券取引所にも上場しました。1953年11月にはドイツのロバートボッシュ社と技術導入契約を締結し、1959年には愛知電装株式会社を吸収合併しました。1961年にはデミング賞を受賞し、1965年には刈谷市に池田工場を建設しました。1971年には米国に初の海外現地法人を設立し、1972年にはタイに現地法人を設立しました。以降も、国内外での事業拡大を進め、現在では193社の連結会社を持つ企業へと成長しています。

株式会社デンソーの財務情報は以下の通りです。2024年3月31日現在、売上収益は7,148,981百万円、当期利益は355,617百万円です。営業活動によるキャッシュ・フローは961,826百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは-459,487百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは-496,659百万円となっています。現金及び現金同等物は789,390百万円、営業債権及びその他の債権は1,281,279百万円、棚卸資産は1,172,257百万円です。負債合計は2,476,035百万円、純資産合計は3,121,900百万円で、負債純資産合計は5,597,935百万円です。これらの指標は、企業の財務健全性や収益性を示す重要なデータです。

株式会社デンソーの経営方針は、顧客満足を提供する魅力的な製品の開発、変化を先取りした市場展開、自然との共生、個性を尊重した活力ある企業作りを基本としています。企業価値の持続的向上と株主還元の拡充を重視し、資本コストを低減するための最適な資本構成を目指しています。配当については、株主資本配当率（DOE）を指標とし、3.0%からの継続的な上昇を目指しています。また、設備投資や研究開発、M&Aに資金を投入し、株主還元を実現するために機動的に自己株式を取得する方針です。これにより、長期的な成長を支える基盤を築いています。

株式会社デンソーでは、多様化するリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続を両立させるためのリスクマネジメントを実施しています。リスクマネジメント統括責任者であるチーフ・リスク・オフィサー（CRO）を議長とするリスクマネジメント会議を設置し、全社的なリスク管理体制の改善や重点活動の審議を行っています。各事業部や地域統括会社にはリスクマネジメント責任者が任命され、平時の経営被害の未然防止と有事の際の対応力強化を図っています。また、緊急事態に備えた初動対応マニュアルを制定し、事態の重要度に応じた対策組織を編成しています。気候変動リスクや品質問題、情報セキュリティ事故などを重点リスクとして選定し、定期的にリスクアセスメントを行い、各責任部署が対応策を実施しています。

株式会社デンソーの経営成績は、2024年3月期において売上収益が7,144,733百万円、営業利益が380,599百万円、当期利益が355,573百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は312,791百万円で、前年同期比で減少しています。特に、営業利益は品質費用の発生により前年より減少しましたが、売上収益は好調な車両販売に支えられ増加しました。資産合計は9,093,370百万円、負債合計は2,476,035百万円で、自己資本比率は60.87%です。これにより、企業の財務基盤は堅固であり、持続的な成長を目指しています。

株式会社デンソーのキャッシュ・フローの状況は、2024年3月31日現在、営業活動によるキャッシュ・フローが9,618億円増加し、合計で6,027億円から9,618億円に達しました。投資活動によるキャッシュ・フローは4,595億円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは4,967億円減少しました。これにより、現金及び現金同等物は7,894億円となり、前年度比で555億円の増加を示しています。特に、営業活動による資金の増加は、税引前利益が206億円減少したにもかかわらず、売上債権の増加が寄与しています。また、有形固定資産の取得額は3,916億円で、前年より8.6%増加しました。これらのデータは、企業の資金流動性と投資活動の健全性を示しています。

株式会社デンソーは、創業以来「社会のため、お客様のため」に事業を通じて社会課題解決に貢献するサステナビリティ経営を推進しています。この考え方は、社是にも反映されており、企業の成長の原動力と位置付けられています。サステナビリティ方針を策定し、社会課題を長期ビジョンや優先取組課題に落とし込み、事業活動を通じて解決に取り組んでいます。具体的には、カーボンニュートラルの達成を目指し、製造工程の効率化や再生可能エネルギーの利用を進めています。2025年度には電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指し、2035年度には完全なカーボンニュートラルを達成する計画です。また、サプライヤーとの協働によるCO2排出量削減や、電動車の普及を支える製品開発にも注力しています。

株式会社デンソーは、事業運営において様々なリスクに直面しています。主なリスクには、新製品開発力の不確実性、価格競争の激化、原材料や部品の供給リスク、為替レートの変動、国際的な活動に伴うリスク、環境問題への対応、情報セキュリティリスク、災害等による影響が含まれます。特に、新製品の開発には多大な資金とリソースが必要であり、成功する保証はありません。また、価格競争が厳しく、競合他社が低価格で製品を提供する場合、売上に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、為替レートの変動や原材料の供給不足も業績に影響を与える要因です。これらのリスクを適切に管理し、事業の持続的な成長を図ることが求められています。

株式会社デンソーの経営者は、2024年3月期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を分析し、持続的成長を目指すための戦略を強調しています。営業活動によるキャッシュ・フローは961,826百万円で、前年同期比で増加しましたが、税引前利益は206億円減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは459,487百万円のマイナスで、主に有形固定資産の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュ・フローも496,659百万円のマイナスで、自己株式の取得が増加しました。全体として、現金及び現金同等物は789,390百万円に達し、財務基盤は堅固です。経営者は、収益力の維持とキャッシュ創出力の強化を図り、必要に応じて有利子負債を活用する方針です。

株式会社デンソーでは、運転資金及び設備投資資金を主に自己資金で賄い、必要に応じて借入や社債の発行を行う方針を採用しています。2024年3月期には、運転資金及び設備投資資金を自己資金と借入・社債発行によって充当しました。資本的支出は、生産拡大や新製品開発のための研究開発投資に重点を置いており、その財源は基本方針に従っています。健全な財務状態と営業活動によるキャッシュ・フローの創出能力により、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。また、流動性リスクを管理するため、手許流動性を連結売上収益の1ヵ月分相当以上に維持することを目指しています。

株式会社デンソーの経営成績に重要な影響を与える要因には、経済状況、為替レートの変動、顧客企業の業績、原材料や部品の供給リスク、国際的な活動に伴うリスクが含まれます。特に、自動車関連製品の需要は、販売地域の経済状況に大きく依存しており、景気後退が発生すると業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、為替レートの変動は、円高が進むと輸出競争力を低下させ、業績にマイナスの影響を与えることがあります。顧客企業の業績も重要で、特にトヨタグループ向けの売上が約半分を占めており、顧客の業績不振は直接的な影響を及ぼします。さらに、原材料や部品の供給が不安定になると、製造コストが上昇し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの要因を総合的に分析し、リスク管理を強化することが求められています。

株式会社デンソーの経営者は、現在の経営環境の変化に対する問題認識を持ち、持続可能な成長を目指す方針を掲げています。特に、カーボンニュートラルの実現や多様な価値観に応じた製品開発が求められており、これに対応するための戦略を策定しています。今後は、ハードとソフトを組み合わせた統合システムのニーズに応えるため、技術革新を進めるとともに、ステークホルダーとの対話を重視し、透明性のある情報開示を行う方針です。また、経営の透明性を確保するため、社外取締役の活用や、経営監視体制の強化を図り、株主との良好なコミュニケーションを維持することが重要とされています。これにより、企業価値の向上と持続的な成長を実現することを目指しています。

株式会社デンソーは、顧客との契約から生じる営業債権及びその他の債権が重要な契約の一部を構成しています。2024年3月31日現在、営業債権及びその他の債権の合計は1,123,568百万円で、前年同期比で減少しています。また、契約資産は流動資産及び非流動資産に分かれ、合計で8,448百万円となっています。これらの契約は、主に自動車部品の供給に関連しており、履行義務の充足に基づいて収益を認識しています。重要な契約に関しては、顧客との取引条件や履行義務の内容が明確に定義されており、これにより安定した収益基盤を確保しています。契約の履行状況やリスク管理についても定期的に見直しを行い、経営の透明性を高める努力をしています。

株式会社デンソーの研究開発活動は、2024年3月期において550,921百万円の研究開発費を投資しました。このうち、日本セグメントが485,438百万円を占め、全体の約88%を占めています。主な研究開発の焦点は、電動化、コネクティビティ、自動運転技術の向上にあり、特に固体酸化物形燃料電池（SOFC）や水素製造技術の開発に注力しています。また、AIを活用した生産プロセスの最適化や、量子コンピュータを模倣した新しい計算技術の開発も進めています。これにより、物流データの最適化やトラック配送スケジュールの効率化を実現し、競争力を高めることを目指しています。

株式会社デンソーの設備状況は、2024年3月31日現在、総額394,563百万円の設備投資を実施しました。日本で228,713百万円、北米で54,064百万円、欧州で30,496百万円、アジアで74,893百万円の投資が行われました。主要な設備には、エレクトリフィケーションシステムやサーマルシステムの生産設備が含まれ、各事業所での生産能力を向上させるための新設や拡充が進められています。今後1年間の設備投資計画は380,000百万円で、主に生産拡大や新製品開発に向けた投資が予定されています。

株式会社デンソーの株式の状況は、2024年3月31日現在、発行済株式総数が3,151,779,804株で、資本金は187,457百万円、資本準備金は265,985百万円です。自己株式は241,014,828株で、前年度比で452,140百万円の増加が見られます。2023年10月1日には普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施し、これにより発行済株式数が大幅に増加しました。株主構成は、個人株主が約17.74%、法人株主が約82.26%を占めており、特に金融機関や外国法人が多くを保有しています。大株主には、トヨタ自動車株式会社が含まれており、安定した株主基盤を持っています。今後も株主還元を重視し、配当政策を継続していく方針です。

株式会社デンソーは、成長に向けた事業投資を行いながら、株主の利益を重視し、企業価値の持続的な向上と株主還元の拡充を重要な政策と位置付けています。配当については、株主資本配当率（DOE）を指標とし、資本効率や連結業績を考慮しながら、DOE3.0%からの継続的な上昇を目指しています。中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行い、2024年度の期末配当金は1株につき30円、年間配当金は1株につき55円（株式分割考慮後）と決定されました。また、事業成長に必要な設備投資や研究開発に資金を投入しつつ、機動的に自己株式を取得して株主に還元する方針です。これにより、安定した配当を維持しつつ、企業の成長を支える資本構成を実現することを目指しています。

株式会社デンソーは、変化の速いグローバル市場での長期的な企業業績の維持・向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの確立を重要課題として認識し、その強化に取り組んでいます。監査役制度を採用し、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人等の法律上の機能に加え、様々なガバナンスの仕組みを整備しています。株主の権利・平等性の確保を重視し、必要な情報を適時・的確に提供することに努めています。また、株主以外のステークホルダーとの適切な協働を目指し、社会課題の解決に向けた取り組みを行っています。取締役会は社内取締役と社外取締役を含む構成で、経営の透明性と効率性を確保し、株主との対話を重視しています。これにより、健全性、効率性、透明性の高い経営を実践しています。

株式会社デンソーの役員は、取締役会長、有馬浩二氏をはじめ、取締役社長の林新之助氏、取締役副社長の松井靖氏など、合計12名で構成されています。取締役会は、社外取締役を含む多様なメンバーで構成されており、経営の透明性と効率性を確保しています。取締役会の出席状況は良好で、全員が出席した回数が多く、特に社外取締役は独立性を保ちながら経営に貢献しています。また、役員指名報酬会議を設置し、役員の報酬や選任に関する透明性を高めています。役員の報酬は、業績に連動した報酬制度を採用しており、企業の成長に寄与することを目指しています。役員の構成は、男性10名、女性2名で、女性の比率は16.7%となっています。

株式会社デンソーの監査の状況は、内部監査と会計監査の2つの側面から構成されています。内部監査は、専門部署が設置され、2024年3月31日現在82名が在籍し、グループ内の遵法性や財務報告の正確性を継続的に監査しています。監査内容は、代表取締役や取締役会に報告され、内部統制の整備状況も確認されています。会計監査は、有限責任監査法人トーマツが担当し、56年の継続監査期間を持ち、業務執行社員のローテーションも適切に実施されています。監査業務には公認会計士16名とその他23名が関与し、監査の透明性と信頼性を確保しています。監査役会は、監査方針や監査計画を審議し、業務執行状況のヒアリングを行うことで、経営監視機能を果たしています。

株式会社デンソーの役員の報酬は、取締役と監査役に分かれています。2024年3月31日現在、取締役の報酬総額は513百万円で、内訳は基本報酬275百万円、業績連動報酬126百万円、株式報酬112百万円です。監査役の報酬は122百万円で、すべて基本報酬となっています。役員の報酬は「役員指名報酬会議」において決定され、業績や職責に基づいて個別に評価されます。業績連動報酬は、連結営業利益やROIC、サステナビリティ評価に基づいて算定され、報酬の透明性と公正性を確保するために外部調査機関のデータを参考にしています。また、報酬制度の改定が行われ、サステナビリティ評価のウェイトが拡大されるなど、企業価値向上を目指した取り組みが進められています。

株式会社デンソーは、2024年3月31日現在、自己株式を240,877,686株保有しています。これに加え、発行済株式総数は3,151,779,804株で、株式分割により株式数が増加しています。大株主にはトヨタ自動車株式会社が含まれ、株主構成は個人株主と法人株主がバランスよく分布しています。特に、法人株主が全体の82.26%を占めており、金融機関や外国法人が多くを保有しています。保有株式の目的は、企業価値の持続的な向上を図るための共同技術開発や取引先との関係維持・強化に関連しており、必要に応じて保有の合理性を検証し、適宜売却を進める方針です。

株式会社デンソーの連結財務諸表は、国際会計基準（IFRS）に基づいて作成されています。2024年3月31日現在の連結財政状態計算書によると、資産合計は9,093,370百万円で、流動資産は3,865,379百万円、非流動資産は5,227,991百万円です。負債合計は2,476,035百万円で、自己資本は3,121,900百万円となっています。連結損益計算書では、売上収益が7,144,733百万円、営業利益が380,599百万円、当期利益が355,573百万円と報告されています。また、連結キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが961,826百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが-459,487百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが-496,659百万円となっています。これらのデータは、企業の財務状況を示す重要な指標です。

株式会社デンソーのセグメント情報は、主に「日本」、「北米」、「欧州」、「アジア」の4つの報告セグメントに分かれています。2024年3月期の生産実績は、日本が2,954,146百万円（前年同期比113.2%）、北米が1,706,601百万円（117.4%）、欧州が699,207百万円（112.7%）、アジアが1,651,092百万円（99.1%）となっています。販売実績では、日本が2,885,718百万円（115.0%）、北米が1,745,443百万円（117.4%）、欧州が709,679百万円（113.7%）、アジアが1,689,807百万円（100.5%）で、報告セグメント計は7,030,647百万円（111.6%）です。セグメント利益は、日本が215,573百万円、北米が17,921百万円、欧州が17,460百万円、アジアが158,286百万円で、全体の営業利益は380,599百万円となっています。これらのデータは、各地域の市場動向や生産能力を反映した重要な指標です。

株式会社デンソーの連結財務諸表は、国際会計基準（IFRS）に基づいて作成されており、重要な会計方針及び見積りに関する仮定が設定されています。主な会計方針には、取得原価を基礎とした測定が含まれ、機能通貨は日本円で表示されています。経営者は、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断や見積りを行い、過去の経験やその他の要素に基づいています。見積りの修正は、修正した期間にのみ影響を及ぼす場合と、将来の期間にも影響を及ぼす場合に分かれ、適切に認識されます。特に、非金融資産の減損や繰延税金資産の回収可能性、製品保証引当金などが重要な見積り項目として挙げられ、これらの見積りには不確実性が伴います。これにより、将来の業績に影響を与える可能性があるため、継続的な見直しが行われています。

株式会社デンソーでは、金融商品に関する会計方針として、金融資産と金融負債をそれぞれ償却原価または公正価値で測定しています。金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識し、営業債権は当初認識時から全期間の予想信用損失を計上しています。金融資産の認識は、キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時に中止されます。金融負債は、償却原価で測定され、当初認識時に公正価値で測定されます。デリバティブ取引は、主に為替予約や金利スワップを利用し、リスク回避のために行われています。公正価値の測定には、観察可能な市場データを基にした評価技法が用いられ、特に非上場株式の評価にはディスカウント・キャッシュ・フロー法が適用されています。これにより、金融商品の評価は合理的であると判断されています。

株式会社デンソーのリース取引は、借手としての取引と貸手としての取引に分かれています。借手としては、建物、機械装置、運搬具などの資産をリースしており、リース負債は2024年3月31日現在で47,622百万円です。リース負債に係る金利費用は768百万円で、リースに係るキャッシュ・アウトフローは48,474百万円となっています。短期リースに係る費用は9,684百万円、少額資産のリースに係る費用は68百万円です。短期リース及び少額資産のリースについては、リース料をリース期間にわたり定額法で費用として認識しています。貸手としての取引では、ファイナンス・リースに係るリース債権が17,421百万円で、主に金型に係る取引が含まれています。これにより、リース取引は企業の資金調達や資産管理において重要な役割を果たしています。

株式会社デンソーの有価証券関係では、2024年3月31日現在、投資有価証券の貸借対照表計上額は1,042,337百万円で、関連会社株式は32,484百万円となっています。これに対し、前年度の投資有価証券は711,318百万円、関連会社株式は32,187百万円でした。関連会社株式の時価は14,368百万円で、差額は9,875百万円となっています。また、子会社株式の貸借対照表計上額は452,261百万円で、全体の有価証券の評価は安定しており、企業の資産基盤を強化しています。特に、ルネサスエレクトロニクス株式会社の株式を2024年5月に売却する計画があり、売却益177,791百万円が特別利益として計上される見込みです。これにより、資金調達や投資戦略の柔軟性が向上することが期待されています。

株式会社デンソーでは、収益を認識する際に「5ステップアプローチ」を採用しています。ステップ1では顧客との契約を識別し、ステップ2で契約における履行義務を特定します。ステップ3では取引価格を算定し、ステップ4でその取引価格を契約における別個の履行義務に配分します。最後に、ステップ5で履行義務が充足した時点で収益を認識します。主に自動車メーカー向けの部品供給事業において、製品の納入時点において支配が顧客に移転し、履行義務が充足されると判断され、収益が認識されます。収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引きやリベートを控除した金額で測定されます。このように、収益認識は契約に基づく明確な基準に従って行われています。

株式会社デンソーの財務諸表に関する注記事項は、連結財務諸表の作成において重要な情報を提供しています。これには、報告企業の概要、作成の基礎、重要な会計方針、見積りに用いた仮定、金融商品、リース取引、有価証券、収益認識、及びその他の関連情報が含まれます。特に、連結財務諸表は国際会計基準（IFRS）に準拠しており、企業の財務状況を正確に反映するための透明性が確保されています。また、経営者は会計方針の適用に際して重要な判断を行い、見積りの不確実性に基づくリスクを評価しています。これにより、投資家やステークホルダーに対して信頼性の高い情報を提供し、企業の持続可能な成長を支える基盤を築いています。